2020年7月29日更新
ミャンマー総選挙:与党NLDで女性候補者増、イスラム教徒擁立
与党・国民民主連盟(NLD)は7月23日、11月8日に行われる総選挙の候補者リストを公表した。
NLDが擁立する立候補者は全土で1000人以上にのぼる。うち8割は現職議員で新人は2割程度だが、前回の選挙と比べると女性候補者が増加し、少ないながらもイスラム教徒の候補者も出馬する。
NLDによると、2015年総選挙における女性候補者は党全体の13%に留まったが、今回は20%に増加した。また、イスラム教徒候補者が少なくとも2人は出馬し、農業従事者の候補は党全体の12%だという。
アウンサンスーチー国家主席は、党への忠誠心と経験値をもとに候補者を決定したと述べた。
ヤンゴンのピョーミンテイン管区首相は、健康問題を理由に出馬を見送ることとなった。
(2020年7月23日付けIrrawaddy記事より要約)
国際人権団体HRW「日本はミャンマー警察への資金協力を停止すべき」
国際的な人権NGOヒューマンライツウォッチ(HRW)は7月23日、日本政府に対し、ミャンマー警察に対する無償資金供与の即時停止を要求した。
日本は7月2日、ミャンマー治安当局の対策強化を目的として、警察車両および無線機器などの設備費に1億円の無償協力を発表した。
(外務省HP「ミャンマー連邦共和国に対する無償資金協力に関する交換公文の署名」参照)
HRWは、「ミャンマー警察は国軍と共にラカイン州でイスラム教徒への人権侵害を繰り返してきた」と述べ、その上で、「日本はミャンマー警察を支援するのではなく、他国政府と協力してその責任を追及し、人権侵害や民族浄化の犠牲者にこそ支援を行うべき」と主張した。
HRWアジア局長、ブラッド・アダムス氏は、「日本政府は人権擁護を掲げるが、実際はミャンマー政府への影響力を強めることに主眼を置いている」と批判した。
日本政府は、「この支援が、適切に、効果的に、かつ排他的に利用されることをミャンマー政府側と確認しており、在ミャンマー日本大使館がその使途を監視する」としている。
しかし、ヤンゴンに拠点を置く人権団体 Equality Myanmar の幹部、アウンミョーミン氏は「国外の政府がミャンマーへの支援金の使途を追跡するのは簡単ではない」と指摘する。
一方で、警察を内部告発し解雇された元警官のモーヤンナイン氏は、「警察は現在、文民政府の治安機関へ移行している最中で、完全移行するにも資金が必要だ」と警察への資金協力の必要性を訴えた。
(2020年7月7日付けRadio Free Asia記事より要約/ヒューマンライツウォッチHP参照)
2020年7月22日更新
マレーシア首相「ミャンマーのイスラム教徒難民、受け入れ限界」
マレーシアのムヒディン首相は6月26日、東南アジア諸国連合(ASEAN)指導者との電話会議において「ミャンマーのイスラム教徒難民をこれ以上受け入れることはできない」と述べた。新型コロナウイルスによる経済への影響をその理由として上げた。
2017年にミャンマー軍によるイスラム教徒への掃討作戦が実施された後、多くのイスラム教徒が国を逃れ、バングラデシュやマレーシアが主な避難先となってきた。
マレーシアは、こうしたイスラム教徒の受け入れはしつつも難民認定はしていない。最近では新型コロナウイルス感染防止の観点から難民を乗せた船を拒否することもあった。
背景には、新型コロナウイルスが国外から持ち込まれ、それに潤沢ではない国家資金が使われることへの国民の怒りがある。
ムヒディン首相は「マレーシアはコロナ対策で手一杯である。資金面でも限界だ。それなのに、さらなる難民受け入れを期待されている」と述べた。
イスラム教国のマレーシアとインドネシアは、イスラム教徒難民らが密入国業者の船で逃れてくると、ミャンマーを批判している。一方、ミャンマーはこれに対し、国内でいかなる人権侵害は行われていないが、そもそもこうしたイスラム教徒はミャンマーの国民ではなく、南アジアからの不法移民であるとの主張をしている。
波が穏やかな11月から4月にかけて、ミャンマーのイスラム教徒が海を渡ってマレーシアやタイ、インドネシアに逃れる行為はここ何年も繰り返されており、ムヒディン首相は国連に対し、早期解決へ導くよう要請している。
(2020年6月26日付けReuter記事より要約)
イスラム教徒難民キャンプ:コロナに不安を持つ子どもたち
子どもの支援を専門とする国際NGOセーブ・ザ・チルドレンは6月26日、バングラデシュの難民キャンプに暮らすミャンマーのイスラム教徒の子ども達が新型コロナウイルスをどのように認識しているかを調査した内容を発表した。
コックスバザールの難民キャンプでは、およそ100万人ものイスラム教徒が暮らしており、同NGOは223人の子どもにインタビューを行った。
セーブ・ザ・チルドレンの調査によると、ここで暮らす難民の子どもたちは、全員が新型コロナウイルスについて認識しており、3分の2は感染を心配している。
また、約40%は自分自身もしくは家族がこのウイルスによって亡くなる可能性に不安を抱いており、約半数はキャンプ内の遊んだり勉強できるエリアが閉鎖されたことを辛く思っている。
同NGOの幹部、オノ・ファン・マネン氏は「ここの子どもたちは2017年にミャンマーから逃げ出す際、すでに大きな心の傷を負っている。3年も難民キャンプに留められたままで、またも大切な家族を失ってしまうのではないかという不安にさいなまれている」
セーブ・ザ・チルドレンは、期日は明らかしていないが、難民を対象とした隔離施設(病床数:60床)を開設する予定だとも発表した。
ファン・マネン氏によると、この隔離施設では専門家を含む80名程度の医療スタッフを常駐させ、重症者も受け入れる予定だという。
(2020年6月25日付けRadio Free Asia記事より要約)
2020年7月14日更新
日本、ミャンマーに無償資金協力 28億円
日本政府は、ミャンマーに対して、総額28億2600万円の無償
以下の4件、内務省の設備調達、マンダレー市の浄水施設整備、
(2020年7月3日付けおよび6日付けMizzima記事より
新型コロナ:仏教聖地バガンで盗難被害
古都バガンも新型コロナウイルスの影響を受けている。
昨年、ユネスコの世界遺産に登録されたバガンは、寺院、仏塔、
観光客が来なくなったことで、6月初旬、12の寺院で、
こうした状況を受け、現在では毎日、100人近い警官隊が昼夜を
マンダレー管区の地方警察第35大隊も地元の治安当局に加わり、
有名な寺院では警備強化が功を奏しており、
一方で、
地元の遺跡管理当局の幹部、ミンタン氏によると、略奪者は仏塔の壁をよじ登り、
同氏は「観光客が多い頃は略奪被害はなかった。
土産店の女性は、遺跡が荒らされることに胸を痛めつつも「
(2020年7月7日付けMizzima記事より要約)
2020年7月9日更新
ミャンマー総選挙、11月8日実施へ
ミャンマー選挙管理委員会(UEC)は、11月8日に総選挙を実施することを明らかにした。
ミャンマーの国会は、上院にあたる「民族代表院(Pyithu Hluttaw)」と下院にあたる「人民代表院(Amyotha Hluttaw)」で構成される。
上院の議席数は224で、この内の25%にあたる56議席が軍人枠、残りの168議席が民間から選出される。
同様に、下院は議席数440の内、110議席が軍人枠、残りの330議席が改選議席となる。
UECによると、有権者は3700万人以上で、候補者を擁立する政党は97に上る。
アウンサンスーチー国家主席が今回も与党・国民民主連盟(NLD)を圧倒的勝利へ導き、政権を維持できるかが焦点となる。
スーチー国家主席は現在、ラカイン州のイスラム教徒をめぐる対応で国際社会の批判にさらされると同時に、経済運営にも停滞感が強まっているため、今回の選挙は厳しい戦いとなるとの見方がある。
(2020年7月1日付けMyanmar
Times記事より要約)
日本支援:ヤンゴン・マンダレー鉄道整備事業 定例会合
ミャンマー国鉄は7月2日、日本の円借款で実施されるヤンゴン・マンダレー鉄道整備事業の第38回調整会合を開催した。
ヤンゴン・マンダレー線の内、老朽化したヤンゴン・タウングー間における設備改修の第1フェーズについて、オンライン会議が行われた。
タンシンマウン運輸・通信相をはじめ、ミャンマー国鉄、国際協力機構(JICA)、土木や鉄道信号システムに携わる東急建設などの建設会社が参加した。
タンシンマウン運輸・通信相は「当事業は、ミャンマーの社会経済開発の主軸を担うもので、建設基準および安全対策、新型コロナウイルス防止ガイドラインを遵守しながらも、遅延なく業務を遂行されたい」と述べた。
(2020年7月3日付けGlobal New Light
of Myanmar記事より要約)
2020年7月2日更新
国際人権団体、ビール大手キリンにミャンマー政府軍系企業との関係解消を要求
国際NGOヒューマンライツウォッチなど4つの人権団体(NPOヒューマンライツナウ、NPO日本国際ボランティアセンター、NPOシャプラニール)は5月22日、日本に拠点を置くビール大手キリン(キリンホールディングス株式会社)に対し、ミャンマー政府軍系企業との提携がラカイン州における人権侵害への加担になるとして、提携関係を解消すべきとの書簡を通知した。
キリンは現在、政府軍が保有する企業ミャンマーエコノミックホールディングス株式会社(MEHL)と提携し、ミャンマーブルワリー社(MBL)とマンダレーブルワリー社(MDL)の株式を過半数所有している。
国際NGOアムネスティーインターナショナルによると、MBLは、2017年9月~10月に、政府軍とラカイン州政府に少なくとも3万ドルを献金しており、政府軍がラカイン州で軍事行動を実施した時期と一致する。
国連事実調査団は2018年報告書で「ミャンマー政府軍のラカイン州における軍事行動は、戦犯および人権侵害に相当する」と発表し、2019年報告書では「政府軍および軍系企業に資金提供を行うことで、人権法および国際人道法に違反する恐れがある」と警告した。
ヒューマンライツウォッチのアジア担当、ロバートソン氏は「キリンは、人権侵害を繰り返すミャンマー政府軍に資金提供しているようなもの。提携企業との関係を断ち切るべき」と述べた。
ヒューマンライツナウの幹部、イトウ氏は「国連の2019年報告書から半年以上が経過するが、キリンは今も提携関係を継続している。同社の事業活動は、政府軍の人権侵害を日々助長している可能性がある」と指摘した。
日本国際ボランティアセンターの幹部、ハセベ氏も「キリンは、子会社が人権侵害を重ねる政府軍に数万ドルも献金した明快な理由を説明していない。国連の報告書を真摯に受け止め、軍系企業との関係を解消するべき」と述べた。
上記4団体の書簡を受け、キリンは6月12日、ミャンマーでの自社の事業活動に対する国際社会の懸念に対処する方針であることを発表した。
また、「提携企業の収益が軍事目的に使用されることは容認できない」とした上で、自社HPにおいて「MEHLの財務およびガバナンス体制の詳細開示を繰り返し求めたが、適切な文書提供がなされなかったため、デロイト・トーマツファイナンシャルアドバイザリー合同会社に資金使途の調査を依頼」したことを発表している。
(2020年6月18日付けHuman Rights Watch記事より要約。およびキリンホールディングスHPを参照)
ミャンマー、新型コロナ打撃企業への融資政策
計画・財務・工業省は、新型コロナウイルスの影響で特に打撃の大きかった企業に対し、政府がこれまでに318億チャット(約24億6200万円)の融資を行ったことを明らかにした。
また、農家に対しては、エーカーあたり5万チャット(約3800円)、年利5%での融資を6月中に開始する予定だ。農地1200億エーカーに対し、6000億チャット(約464億円)規模の特別救済ローンを9月までに実施する方向で検討されている。
(2020年6月25日付けMizzima記事より要約)