2022年7月 今日のミャンマーニュース

 

2022年7月18日更新

外資系企業によるミャンマー企業への外貨出資率35%をミャンマーのチャット通貨に変換

 

ミャンマー中央銀行(CBM)は7月15日、外国為替監督委員会(FESC)の会合であるNo.32 / 2022の決定に基づき、ミャンマー企業の35%を所有する外資系企業に対し、各自の口座にある外貨をミャンマーのチャット通貨に変換しなければならないと発表した。

 

この発表によれば、ミャンマー企業の35%を外資系企業が所有するミャンマー企業の一覧をこの発表と共に外国為替公認ディーラー(AD)に送ったとのことだ。ディーラーは、7月15日午後6時までに各銀行に外国為替口座を開設した企業の外貨口座残高の空欄を証拠として電子メールに記入し、送らなくてはならない。

 

また、7月18日午後6までに外貨からミャンマーのチャット通貨の交換を迅速に行い、銀行と顧客(入札)、そして非貿易向け(リアルタイムR)の一覧に金額を記入しなくてはならない。この指示に従わない場合、外国為替管理法第35条に基づき、違反者に対して措置が取られることになる。

 

(2022年7月18日:THE GLOBAL NEW LIGHT OF MYANMARよりJMSAが翻訳)

 

 

軍事政権、企業に対して海外からの融資返済の差し押さえを命令

 

ミャンマー政府中央銀行(CBM)は7月13日、海外から融資を受けている国内外の企業や団体に対し、融資の利子の返済を一時的に停止するよう指示を出した。

 

AD(認定ディーラー )免許を持つ銀行は、海外の金融機関からの融資返済計画を顧客に周知し、必要に応じて準備するよう勧める旨の文書を、外貨購入をしているAD免許を持つ銀行に送付した。

 

この命令は、国外への外貨流出に対して厳しくするための措置だと企業関係者らは見ている。

 

批評家らからは、この命令がミャンマーで事業を行っている外資系企業に対してさらなる障壁をもたらし、外国の金融機関がミャンマー市場からの低金利金融商品を差し控える恐れがあると強調した。

 

外為法によると、国内外の企業や団体が海外の銀行から融資を受ける場合、ある一定基準を満たす必要があるため、親会社はCBMの許可なしには融資を受けることは認められない。

 

自暴自棄になりつつあるCBMは、AD免許を持つ銀行に対し7月18日までに外資系企業による所有率が35%に達するミャンマー企業の外貨口座をミャンマーのチャット通貨に変換するよう指示を出した。

 

CBMは、AD免許を持つ銀行で外貨預金口座を開設した企業に対し、7月18日までに外貨預金口座にある米ドル保有額を当行に提出するよう通知した。

 

CBMは、外国為替管理法に基づく指示に従わない企業には、措置を講じると警鐘を鳴らしている。

 

闇市場レートが1ドル=2,100チャット以上に高騰しているにも関わらず、軍事政権は外貨保有者に1ドル=1,850チャットのレートでドルを交換するよう強く求め、チャットに対するデフレ圧力と対峙している。

 

その当時の指数関数的に高騰していたミャンマーのチャットのクーデター前の価値は、1ドル当たり1,330チャット程度であった。

 

(2022年7月18日:DVBよりJMSAが翻訳)

 

 

2022年7月19日更新

ミャンマーにおける中国の3大インフラ構想に注目

 

中国がミャンマーを通じてメコン諸国との関係再構築を目指す重要なメッセージを発信することを目的に、ミャンマーで

ランカン-メコン協力会議(LMC)の共催が予定されている。

これに先立ち、中国外相が今月上旬に内戦で荒廃したミャンマーを訪問した。

 

北京による戦略的かつ経済的利益が集中するミャンマーにおいて、王毅外相の訪問後中国は、3つの野心的な計画を練りつつも

慎重に状況を注視している。

 

中国は、ミャンマーのリスクが少ない地域で野心的なプロジェクト実施を検討しているとみられる。

こうした計画は、ミャンマー国内での中国の経済的かつ政治的影響力を飛躍的に高めるだけでなく、シャン州東部と北部で

中国と同盟関係にある民族武装組織(EAO)に地政学的な優位性を与えようとするものである。

 

欧米諸国が政権の人権侵害を理由にミャンマーを敬遠する一方、中国はミャンマーのインフラプロジェクトにおいて

唯一の関係国となり、政権の私腹を助長することになりかねない。

情報筋によれば、LMCによる新たな国際陸海空貿易回廊によりミャンマーに対して中国の経済的依存度をより高めることで、

ミャンマーは中国にとっての「お得意様」国家になることは不可避となるだろう。

 

LMC プロジェクト

 

中国による一方的なダム建設の実施を受け、6カ国(中国、ミャンマー、ラオス、タイ、カンボジア、ベトナム)で構成される

メコン川流域諸国の小規模地域協力機構「LMC」が設立された。

2016年以降中国は、文化的イベント、農業プロジェクト、そして地域間をつなぐインフラプロジェクトに至るまでメコン諸国に

とって積極的な関係国かつ保証国として実績を上げてきた。

 

ミャンマーでの会合の際に中国は、農業、水資源、デジタル経済、航空宇宙、教育、公衆衛生に関わる6つの協力プログラムを

提案した。

 

しかしLMCの主な目的は、中国-ラオス間を結ぶ鉄道の建設など各国間の輸送インフラプロジェクトや国境を越えた経済協力を売り込むことである。

 

中国は昨年8月、ミャンマー軍事政権に600万米ドル以上を拠出し、文化、農業、科学、観光、動物ワクチンを含むLMCの下で行う21のプロジェクトに資金援助を行うことを発表した。

ミャンマーのワナマウンルイン外相との会談で王氏は、「LMCの質を高め、向上させる」ことを目的に、北京はミャンマーとの調整および協力を強化する旨意を示していると伝えた。

これを受け、中国が資金提供を行うメコン-ランカン協力国家調整ユニット(ミャンマー)がミャンマーに発足した。

 

中国とミャンマーの関係に詳しい地元のオブザーバーによれば、王氏の訪問は、一部の中国国内のアナリストからは否定的な意見が出ているものの、北京がLMCを通じて政権を全面的に支援していることを示しているという。

クーデターにより生じた政治的かつ社会的危機を緩和するため、軍事政権は外国からの投資を切に願っているのである。

 

「もしこの国が完全に無政府状態に陥れば、中国にとって悪夢となり、中国はそれを(自国の利益のために)心配しているのです」と当オブザーバーは語った。

 

LMC下での中国は、シャン州東部のあまり知られていない戦略的な港湾プロジェクトなど様々な分野で

ミャンマーに対して積極的な支援を行っている。

 

中国大使館は先月初め、LMC特別基金の支援を基に実施予定のワンポン港の改修工事プロジェクト履行に向けた調査が終了したことを発表した。

また中国は、2018年から同港を地域の貿易拠点とするために数百万ドルの投資を行ってきた。

中国大使館によれば、当プロジェクトの調査には、環境や社会に与える影響評価、費用の見積もり、設計計画や運用研修プログラム等が含まれているとのことである。

 

シャン州東部のタチレイ地区に位置し、メコン川に面する戦略的な港湾であるため、中国にとってメコン地域への影響力を

強めるには重要なプロジェクトである。

北京は、ワンポン港をメコン川流域の主要港の一つにすることを公約として掲げている。

 

この港は、ラオスとの貿易に大きな役割を果たすとともに他の大メコン圏(GMS)諸国を結ぶ道筋を開くものになる。

さらにコロナ蔓延時には、ミャンマーはこの港からラオス経由で中国に米を輸出していた。

 

このワンポン港の拡張工事の完成で輸送用コンテナの取り扱いが可能となり、ミャンマーとGMS諸国との貿易が活発になることが

期待されている。

 

またこの計画により、シャン州東部での中国の経済的影響力が高まる。

ミャンマー国内で軍事政権が発足して以降中国は、シャン州東部を含むサルウィン川東部の支配権を獲得するために積極的に

活動を行っていた。

さらにLMCにおいて、サルウィン川の水力発電所の再開やサルウィン流域のいわゆる開発プロジェクトを

大メコン圏プロジェクトの一部として扱うことが中国にとって主要な優先事項の一つとなっている。

 

中国は、シャン州での巨大ダムの建設計画以外にもサルウィン川沿いに少なくとも7つのダム建設を計画している。

中国とタイの企業による共同開発として計画される7,000メガワットのモンタンダムは、シャン州ではタサンダムと呼ばれ、

国内最大の水力発電ダムとなる。

地元住民の強い反対にも見舞われたが、ダムは計画段階に入っている。

 

この動きにより中国の経済的かつ政治的影響力が高まり、中国とワ州連合軍(UWSA)を含むこの地域の同盟EAOに対して

経済的かつ地政学的な優位性を与えることになる。

 

軍事政権発足以降の中国はというと、同盟関係にあるEAOの協力を得ながら中国-ミャンマー間の経済回廊(CMEC)沿いや

サルウィン川東岸に緩衝地帯を設けることに力を入れている。

同盟関係にあるEAOとシャン州復興評議会(RCSS)との間で起きている紛争を考慮し、中国は友好的なEAOにこうした地域の

領有権を確保するよう訴えているようである。

 

さらに重要なことは、サルウィン流域での高まる中国の影響力により、サルウィン川の水力発電所の再開や

サルウィン流域のその他の開発プロジェクトがLMCの一部となる可能性があるということである。

 

 

(2022年711日 イラワディよりJMSA翻訳)

 

 

 

2022年7月13日更新

ASEAN特使の新たな願いは、ミャンマーのアウンサンスーチー氏との面会

 

東南アジア諸国連合(以下、ASEAN)のミャンマー特使は、全ての関係者と顔を合わせなければミャンマーの政治的危機の解決に向けた任務は実を結ばないという批判が高まる中、軍事政権に対し拘束中である野党党首のアウンサンスーチー氏との面会を再度訴えた。

 

プラックソコンASEAN特使は、就任後2度目となるミャンマー訪問の3日目の7月1日金曜日に首都ネピドーで7つの民族武装集団の代表と協議を行った。

 

武装集団の首謀者らは、2時間の協議の中でラジオフリーアジア(ビルマ版)(以下、RFA)に対し、「プラックソコン氏は、全ての関係者との紛争解決に向けた対話、国全土における停戦、そして困窮している人々への人道的支援の3つの目標達成に取り組んでいる」と説明した。

 

プラックソコン氏はまた、辞任した国民民主連盟(以下、NLD)のアウンサンスーチー党首との対談を望んでいるが、各団体は「非常に難しい」と述べた。

 

2018年にミャンマー政府の国内停戦協定に署名した野党の新モン州党(以下、NMSP)の報道官であるナイアウンマンガイ氏はRFAに対し、ASEAN特使は、木曜に行われた政権指導者のミンアウンフライン国軍総司令官との協議の中で「お目にかかるに値する人物」との対談を求める意を示したと述べた。

 

NMSPの報道官によると、プラックソコン氏は「刑務所の問題に関して最善を尽くしている」と述べた。また「先日は(政権の)議長とお会いし、こうした問題について議論した」を語った。同氏はまた「対話についても話し合った」という。

 

同報道官の話では、現時点で「刑務所に収監されているアウンサンスーチー氏の件に関して、面会は非常に難しく、多くの時間を要するだろう」とのことだ。

 

ナイアウンマンガイ氏は、プラックソコン氏が3月に特使として初めてミャンマーを訪問した際に軍事政権によりスーチー氏との面会を拒否されたことに対し意義を唱えた。

 

NMSPの報道官は、「プラックソコン氏の(ASEANの議長が年度末に交代するまで)現職の在任期間がまだ6か月ほどあるため、引き続き諸問題に取り組んでいる」と報じた。同報道官によると、「プラックソコン氏は、任期満了前に打開策を見出すよう努力する」とのことだ。

 

20214月のミャンマー情勢に関する緊急会合でミンアウンフライン氏は、政治的危機を解決するために全ての関係者との協議を含め、国内で起きている暴力に終止符を打つべくいわゆる「5項目合意」に合意していたが、その公約を守ることができなかった。オブザーバーからは、「NLD指導部やその他政治的影響力を持つ人物らをこの一連の合意形成の過程に加えなければ和平は実現できない」との意見が出た。

金曜日にプラックソコン氏と協議を行った民族武装集団には、NMSPに加え、シャン州復興評議会(RCSS)、民主主義カレン軍(DKBA)、アラカン州解放党(ALP)、カレン国家平和評議会(KNLA/PC)、ラフ民主連合(LDU)、そしてパオ国家解放機構(PNLO)が含まれており、7つ全てが2015年以降、政府と国内停戦協定(NCA)を締結している集団である。

 

ALPの副議長を務めるソウムラヤザリン氏によると、プラックソコン氏は、国の政治的な膠着状態を打開するための協議に他に誰を加えるべきかに関する考えも各集団に尋ねたとRFAに語った。

 

しかし、「全ての政党、全ての民族武装集団、市民社会の間で構成される組織、そしてその他関係者も含む必要があり、我々側は、そのような状況が不可欠である旨をプラックソコン氏に伝えた」と考えを示した。

 

法の上に立つものは誰もいない。

 

プラックソコン氏の5日間の外交日程に先立ち、ASEAN議長国であるカンボジアのフンセン首相とともに、スーチー氏とNLDのウィンミン大統領との面会を求めたが、軍事政権はこれを拒否した。複数の罪に課せられているNLDの高官である両氏は、政治的動機があると広く考えられているため、202121日の軍のクーデター直後に逮捕された。

 

プラックソコン氏はまた、先週ネピドー刑務所に移送されたスーチー氏を元の拘留所に戻すよう訴えた。劣悪な環境である刑務所では十分な医療を受けられないため、77歳のスーチー氏の健康状態が危惧されているからだ。しかしこの訴えは、金曜日に政権の情報副大臣であるゾーミントゥン少将により却下された。同少将は記者会見で「誰も法律の上に立つ者はいない」と述べ、スーチー氏には「適切な食事と必要な健康管理」を提供するための特別な準備を行っていると所見を述べた。

 

プラックソコン氏の訪問に関してゾーミントゥン氏に何度も連絡を試みたが、金曜日時点で何らコメントは得られなかった。

 

軍は、特使が訪問中に「一部のNLDメンバー」との面会を許可すると述べたが、それが誰なのかは明らかにしていない。 

 

見出せない解決策

 

RFAの取材に対し、影の国民統一政府(NUG)国防省のナイントゥアウン常任理事は、金曜日に行われた協議を「偽り」と評し、

ミャンマーの政治的危機に対する現実的な解決策は生まれないと述べた。

 

「協議への参加に値する全ての人々が関わりあうことが非常に重要だ」とナイントゥアウン氏は見解を述べた。

 

「偽りである政治的な対話は、ミャンマーの政治や武力紛争の解決策にはならず、またそのような対話はより悲観的な結果をもたらす恐れがある」と同氏は付け加えた。

 

ミャンマーを拠点に活動する政治アナリストであるイェトゥン氏は、カイン、カチン、チンやカヤー州、そしてサガインやマグウェイ地域で政権軍と交戦を繰り広げている武装集団を金曜日の会合に出席させられなかったため、国内で続く軍事的緊張の緩和にはほとんど有意性がなかったと指摘した。

 

イェ・トゥン氏は、反軍事政権派の自警組織「人民防衛軍(PDF)」を支持する複数の武装民族集団も軍との協議を拒否していると言及した。

 

(20227月1日 RFAよりJSMAが翻訳・要約)

 

 

 

ミャンマーにおける中国の複雑な駆け引き

 

ミャンマーについて数十年にわたり取材を続けてきたベテラン作家でジャーナリストであるベルティルリントナー氏。このインタビューでは、ミャンマーでの中国の目標と戦略、国民民主連盟や民族武装集団との関係を含むアウンサンスーチー氏の今後の動向、国内で展開する軍による支配の終結に向けた最も可能性の高いシナリオなどについて、イラワジ編集長のアウンゾー氏との対談である。

 

アウンゾー氏:

対談が長丁場になってしまうかもしれませんが、これまでに和平プロセスや民族国家、民族軍EAO(民族武装組織)などを取り上げてきました。次に、ミャンマーの強力な隣国である中国についてお話をお伺いできればと思います。

我々は、幾度となくミャンマーの内政や内紛における中国の役割、ミャンマーの内政に対する中国による干渉、

さらには中国の地政学的野心やインド洋への海洋進出について議論を重ねてきました。

 

ベルティルリントナー氏:

まず中国の地図を見ると、内陸部にある巨大な帝国ではありますが、これほどの大国にしては比較的短い海岸線しか有していません。また、中国は社会主義から資本主義へと経済システムの転換を図りましたが、その発展モデルになったのは、輸出でした。

輸出産業を発展させ、国の所得向上などにより生活水準を上げることを目指してきました。

沿岸部には当然港がありますから、すぐに輸出が開始され、生産が行われていました。これは、広東省、福建省、そして後に上海も同様に展開されていきますが、一方で、内陸地方はというと、遅れを取っていました。沿岸部の地方と内陸部の地方との収入格差は、国全体の統一を脅かすほど深刻度は増していきました。中国というのは、巨大であり、また大陸であるため、国以上の存在であり、また多くの民族もいます。1980年代に入り、中国政府は、内陸部において輸出中心の開発の可能性を模索し始め、

1985年の機関誌『北京論壇』にもこの内容が掲載されました。

 

アウンゾー氏:

私もそれを読んだことがあります。

 

ベルティルリントナー氏:

四川省、雲南省、広州市の3省の人口を合わせると1億人にも達しますから、そこで産業を興し、中国国内の港に商品を送るということはあり得ないわけです。そこで他国を経由して輸出する必要があったのです。中国全土を見渡しても同様なことが言えます。中国と国境を接する国の中でマラッカ海峡や南シナ海を迂回してインド洋に直接アクセスでき、中国国内の港からの輸出を促進するよりも容易な国は3か国しかありません。それは、ビルマ、インド、パキスタンです。

ただ中国に協力的ではないインドは、忘れていただいてもいいのですが。

 

アウンゾー氏:

はい。

 

ベルティルリントナー氏

パキスタンもそうですね。そこにはカラコルム高速道路がありますが、これは世界で最も危険な高速道路の1つでもあるんです。もちろん、パキスタンの政治的な混乱もあり、とても恐ろしいことではありますが。とは言うものの、中国にとってインド洋に容易かつ便利に巡航可能な国といのは、1つしか実は存在ないのです。

 

アウンゾー氏:

ミャンマーですね。

 

ベルティルリントナー氏

はい、そうです。したがって中国は、ミャンマーには他国にはない長期的な戦略的利益を有しているのです。欧米諸国が人権や民主主義について語るのは良いことですが、ミャンマーで起きていることには実質的な影響は何ら及ぼさないでしょう。

インドももちろん中国の影響力を懸念していますが、これまでのところ、それに対して上手く対処してはいません。一方で中国は、ミャンマーとの関係を発展させるための努力を急ピッチで推し進めています。アウンサンスーチー氏が国家顧問に就任した際にも、中国大使館は真っ先にスーチー氏の選挙勝利を祝福しましたが、それは一種の......

 

アウンゾー氏:

また、スーチー氏は2015年の選挙前にも中国に招待され、習近平国家主席と会談をしました。

 

ベルティルリントナー氏

私が考えるに、中国人はミャンマーの「安定した」軍事政権を望んでいるのだと思います。

 

アウンゾー氏:

しかし、弱いと。

 

ベルティルリントナー氏

はい、さほど強いわけではありません。

 

アウンゾー氏:

民主主義でもなく。

 

ベルティルリントナー氏

はい、ミャンマーはそれを好まないでしょう。しかし、アウンサンスーチー氏が国を動かしていなかった時でさえも、国は軍によって動かされていた事実を忘れてはいけません。少なくともスーチー氏は政府を動かしていた訳ですから、中国は、やはりスーチー氏やNLDと非常に緊密で友好的な関係を築こうと努力してきたのです。ただあくまでも私の所見ですが、中国による長期的な戦略的利益を考えるならば、中国はより対処しやすい政府、つまり非民主主義的な政府を好むということです。

中国と様々なEAOの関係も同様です。

 

アウンゾー氏:

はい、それが次の質問にもつながるのですが、かつて共産主義国家であった中国は、ミャンマーなど近隣諸国に「革命」を輸出していましたよね。しかし今日では、中国は商品を輸出し、近隣諸国と貿易をしたいと考えています。ミャンマーは、「一帯一路構想」の巨大なプロジェクトの一端を担っており、中国-ミャンマー間の経済回廊(CMEC)を有しています。中国とミャンマーは、非常に数多くの巨大プロジェクトの協定に署名しており、シャン州では、いくつかのプロジェクトが始動しています。我々が知る限り、プロジェクト実施に当たり事前調査が行われ、シャン州には多くのEAOや民兵が活動しています。

 

CMECのプロジェクトの多くは、シャン州、ワ族、コーカン族、TNLA(タアン民族解放軍)、さらにはアラカン軍(AA)などのEAOがいる地域から今後開始されるとみられ、「中国の飛び地」の一部のように見えるこの北部地域に中国は、こうしたグループを支援するために武器を提供しています。ここ56年の間で中国によるミャンマーの和平プロセスへの積極的な関与を目の当たりにしていますが、この件についてもう少し詳しく教えてください。中国は信頼できる国なのでしょうか?

 

ベルティルリントナー氏

そうですね、この質問に対する答えはとても簡単です。彼らがミャンマーの真の平和に関心を持っているかという意味では、信頼性はないでしょう。というのも、その平和は中国にとっては何ら利益にはならないからです。

ワ州の連合軍やコーカンを見てみると、彼らは基本的にCPB(ビルマ共産党)の後継者ですから、彼らは、60年代後半から70年代、そして80年代にかけて中国から多大な支援を受けてきました。その当時、中国は革命を輸出していましたが、

現在は、消費財を輸出しています。

 

しかし、1989年の反乱をきっかけに、中国が国内での地盤をCPBに譲ることは、浅はかな行為となるでしょう。なぜなら、彼らはそもそも同じ言葉を話すし、ワ族の指導者らの多くも第二言語として中国語を話しますが、CPBの指導者らの間では中国語を話す人はほとんどいません。

ワ族が使用している武器を見てみると、CPBよりも精度が高く重武装化しているのが分かりますが、こうした武器は全て中国から輸入されています。以上を踏まえると、中国のシンクタンクがどんなに否定しても、それに関しては何ら議論の余地もありません。

ただもっと広い視野で考えてみてはどうでしょうか。議論のために、明日、全ての民族が座って「そうだ、私たちはこのような連邦や連合を作りたい」と合意し、協定に署名して、国内ではもう戦闘は無くなり、平和になり、武装集団は全て地元警察かなにかになる、と仮定しましょう。最初に損をするのは誰でしょうか? 

 

それは中国であり、中国はそのような状況には興味はないのです。中国としては、雲南省に数多くの避難民が押し寄せてくるというようなある程度の混乱は避けたとは思いますが、完全な安定にも興味はありません。中国は、自分たちがある程度牛耳ることができるようなある程度の安定を望んでいるのです。それこそが現在の状況です。

 

アウンゾー氏:

つまり、勢力同士を対立させておきたいとの思惑があると。

 

 

ベルティルリントナー氏

はい、もちろんです。彼らが紛争を止めてしまうということは、中国にとって何ら利益になりません。しかし現在は異なります。いつか将来はそうなるかもしれませんが、今日の中国にとっては利益にならないことは確かです。ミャンマーがあまりにも安定してしまうと、支配することができないため、中国は平和に興味があるのではなく、ミャンマーの国が安定してくれるような事に興味があるのです。中国は、多くの国とつながりを持っていますが、非常に中国特有な外交政策も行っています。

政府間の関係や政党間の関係を区別しているため、中国では政党が1つしか存在せず、その政党が政府を支配している国にとっては、非常に不合理なのです。

 

アウンゾー氏:

今年4月、中国外務省はミャンマーの外相であるワナマウンルイン氏を中国に招待しました。王毅外相は、「状況がどう変わろうとも、中国はミャンマーが主権、独立、領土保全を守り、国情に合った発展路線を模索することを支持する」と表明しました。しかし、裏では中国はどのようにミャンマーの国内勢力を支配しようとしているのか、中国が包囲網をどのように敷くのかを我々は話していました。そして現在、中国はミャンマーに対して領土の完全性を尊重すると公約したのです。

 

ベルティルリントナー氏

しかし、中国はそのようなことはこれまでに一度も行ってはいません。まず初めに、中国は20年間にわたってCPBを支援してきましたし、国境沿いの特定のEAOとの関係性も保っていました。特にミャンマーの様々な武装集団や組織については、常にミャンマーの国内政治に関与してきた背景があります。

 

アウンゾー氏:

そうすると、ミャンマー、特にシャン州はどうなるかというと、好むか好まざるかに関わらず、今後10年から20年の間に多くの巨大プロジェクトが始まってくるでしょう。中国人が来て、中国の代理人と言われるワ族までもがシャン州南部に移動してくるといったことが起きるので、かなり懸念されています。タイもまた不安そうに状況を静観しています。

 

ベルティルリントナー氏

中国は、ミャンマー国内の特定の地域を併合したいとは考えてはいないでしょう。それは中国が影響力を行使し、勢力圏を拡大する方法とは異なるからです。実は、中国が現在ミャンマーで行っている計画は、「一帯一路構想」よりも前のものです。

 

80年代には、ミャンマーを通って雲南省からインド洋に至る陸海空に目を向けており、その開発計画について議論を重ねていました。もちろん、それは干渉であり、単なる援助ではありません。中国は、善意からこのようなことをしているのではなく、中国-ミャンマー間の経済回廊を支配することで、経済的、政治的、そして戦略的な利益を得ているのです。そして中国は、今後もこのことを継続していくでしょう。

EAOを見てみると、常に覚えておかなければならないのは、ミャンマーは国境を越えて中国から得られるものが多くあり、非常に依存しているため、中国なしには存続できないということは覚えておく必要はあります。

ただ必ずしも親中派でなくてはならないのではなく、まずそういうことは切り離して考えてみましょう。

 

カチン族は、そうではないことは既に分かっています。彼らはキリスト教徒であり、中国から信頼されていません。故に中国は彼らには武器を与えず、カチン族は他から武器を調達しています。ワ族も中国の支配を快く思っていません。彼らは独立心が旺盛な人たちですから、1950年代に中国の中央当局がワ族をどのように扱ったかを彼らは知っていて、それを未だに忘れてはいないのです。

 

アウンゾー氏:

中国は信用されていないということは分かりました。ただ今日では、中国政府はミャンマーの軍事政権を支持し、支援しているよう見えますが、ミャンマー国民はこの政権を嫌いひどく嫌い、軽蔑しています。昨年は、ヤンゴンや他の都市で反中デモが起き、中国の工場が襲撃されました。それから今年や昨年でも、現地の武装集団、反対派が中国企業や国内のガスパイプライン、銅山に対して脅しをかけているとと聞きました。中国もまた、一部の野党議員や亡命中のNUG(国民統一政府)に対して、国益や中国企業の保護を訴えています。そして、中国側も政権に対して、ミャンマーにおける中国の利益と中国のビジネスに対する保護を目的に何としても自国の利益を守るよう呼び掛けています。

 

ベルティルリントナー氏

中国が国民統一政府や武装勢力と「党対党」ベースで対話を始めたことで、中国がこの件にどう対処しているかがよくわかりますね。しかし、彼らの長期的な戦略的関心は変わりませんし、インド洋への出口である海への回廊があります。そのため、特定のグループと敵対することは許されない訳です。

 

SLORC(国家法秩序回復評議会)の時代、中国は全ての卵を一つのカゴに入れ、軍だけを支援を行いました。もちろん、EAOの一部とは連携していましたが、それとは若干異なります。しかし、そこでもある程度の柔軟性を示し、NLDの設立当初でさえ、敵対することは避けていました。そのことを反映するような不思議で一風変わった逸話があります。

 

1988年の蜂起後、大学通りにあるアウンサンスーチー氏の住居に活動家、医者、弁護士、政治家、ジャーナリストなどありとあらゆる人たちが集まったのです。欧米の大使館職員もスーチー氏やNLDの指導者らに会いに行ったのです。ただ中国の外交官は、会いにはいきませんでした。アウンサンスーチー氏の亡き夫であるマイケルアリス氏が教えてくれたのですが、

ご存じの通り、彼はもう亡くなっていますが、ただ私がこの話をするのを彼が嫌がるとは思えませんよ。

 

その時、彼はもちろん大学通りの家にいました。中国の外交官は、スーチー氏に話をしに来ることありませんでしたが、ある日、中国大使館の外交ナンバーを付けた車が大学通りに入ってくるのを集まった人たちが目撃したそうです。みんな驚いていましたよ。

それから大使館の若手職員がチベット仏教に関するチベット語の本がいっぱいに詰まった大きな箱を持ってやって来たのです。

つまりそれは「私たちは注意深く行動を取りますが、まあ、敵視しないでくださいよ」という彼らなりの間接的なメッセージだったのです。それはスーチー氏に対してではなく、彼女の夫に対してです。ちなみにこれは、チベット仏教の話です。

 

しかし、誰もが当時でさえ、中国人はあのような振る舞い方をある程度はするんだということを示したのだと思います。軍事政権が存続するかどうかなんて分かりませんでしたし、将来はどうなるんだろうと、皆考えていました。繰り返しになりますが、中国の長期的な利益は変わりませんし、それに応じて様々な駆け引きをしているんです。その結果、このようになるのです。

 

 

アウンゾー氏:

しかし、SLORC-SPDC(国家平和開発評議会)が政権を奪還して以来この30年間、ミャンマー北部で中国による大規模な天然資源の搾取を目の当たりにしてきました。

 

ベルティルリントナー氏

はい、スズとレアアースがワ州で取られています。中国のレアアースメタル輸出の話をするときは、半分は本当ですが、実はその多くがワ・ヒルズ産なのです。

中国人はカチン州にもレアアース鉱山を2つ持っていますが、もちろん、こうした資源を輸出することでKIOKIAUWSA(カチン独立機構、カチン独立軍、ワ州連合軍)などの武装集団が組織を維持し、さらに武器を手に入れ、それぞれの地域で活動することが可能になるのです。とは言ってもやはり、ある意味、相互依存しているんです。

 

しかし、もしミャンマーの中央政府がワ族のような人々に対してより賢明な対応を取れば、この問題は解決すると私は考えています。中国に完全に依存するよりもミャンマーと一緒にいる方が幸せだと思うのです。ただ目下のところ、彼らにとって麻薬の密売人やその他諸々を見放すのはとても簡単です。というのも彼らはかつて麻薬の取引をしていたからです。それは間違いないでしょう。

 

ただ現在、彼らの収入源はより多様化しており、たとえ麻薬から収益を得ていたとしても、ミャンマーでそれをしなかった人はいないでしょうね(政府も含めて)。

 

アウンゾー氏:

昨年、ある中国の特使がクーデター後、ミャンマーを2度訪問しました。同使は、クーデターの指導者であるミンアウンフライン国軍総司令官に対し、拘束されているアウンサンスーチー国家顧問との面会を許可するよう求めたと報じられています。ただその許可が認められず、また、中国がミャンマー人に国民民主連盟を解散させないように言ったというニュースも耳にしました。

他の西側諸国や西側政府と比べて、中国がミャンマーに対して政治的な影響力を持っているとお考えですか?

 

ベルティルリントナー氏

前にもお話しましたが、ミャンマー軍はかなり外国人嫌いなんですよ。彼らはCPBと長きにわたって繰り広げた苦しい戦いを忘れてはいませんから。多くの兵士が中国製の銃で殺され、彼らの部下も殺されました。

 

ある退役将校が、それは心に残る傷のようなものだと言っていました。彼らはそれを忘れることができないのです。そしてもちろん、88年のクーデター後は、まずは軍隊を再建し強化する必要があったのです。当時は、何でも売ってくれるのは中国だけでしたが、中国への依存度が高くなってしまったため、その過度な依存度は避けるため、代替手段を探さなければならなくなったのです。そこで彼らが目を向けたのが、ロシアでした。もちろん、しばらくはうまくいっていましたが、今ウクライナで起きていることを考えると、そう長くは続かないでしょう。だから、彼らは非常に不本意ながら中国側に戻ってきたわけですが、中国側はそれをどう扱いたいのかは分かりません。そして、彼らもまた、このことを特に喜んでいるわけではありませんし、もちろん中国もそれを知っています。

軍が彼らを嫌っていることも、信頼していないことも知っているのです。しかし、実際には、ミンアウンフライン氏よりもアウンサンスーチー氏の方が扱いやすいと考えたのでしょう。

 

ですから、2015年の選挙前には、中国がUSDPではなくNLDの勝利を望んでいるという報道もあったほどです。皆から恨まれるような軍政よりもその方がもう少し、当時の国に安定感を与えられるがその理由ですし、中国は、このように様々な駆け引きを同時に行っているのです。つまり大きな絵を見て、傾向を見定め、それがどこにつながるかを見極めることが非常に重要になってきます。ある特定勢力やグループとだけ取り決めをしているわけではありません。ですから、中国のミャンマー・ビルマに対する政策は、より思想的な動機づけが強い欧米諸国のものとは非常に異なっています。

 

アウンゾー氏:

間違いなく、軍人を含むミャンマー人は中国恐怖症です。ミャンマー人は一般的に親西欧派で、親中派で

はありません。過去数十年間、米国がミャンマーに政治的な投資を行い、ミャンマーの民主化、人権、報

道の自由を促進してきたことはご存じでしょう。最近、米国がNUGの外相をワシントンDCに招き、米国・ASEAN首脳会議が

開催されました。米国-中国間には間違いなく抗衡が存在していました。つまり、ライバル関係ということですが、

この冷戦の考え方がASEANを含むインド太平洋地域にも入ってきているのです。

ミャンマーに対してもまた、アメリカと中国が影響力を持とうとしている国のひとつですが、

それについてはどうお考えですか?

 

ベルティルリントナー氏

アメリカがもっと影響力を持とうと思えば、今以上に積極的になることも必要となるでしょう。

 

アウンゾー氏:

ウクライナで起きているような事ですか?

 

ベルティルリントナー氏

ウクライナに送っているような武器を全部送るわけではないのでしょうけど、もしかしたら、別の方法があるかもしれません。

しかし、アメリカの外交政策において、ミャンマーが後回しにされていることは確かです。

それよりもウクライナやヨーロッパで起こっていることのほうに夢中になっているので、

もちろん、中国への道は大きく開かれています。

 

アウンゾー氏:

私が覚えているのは、2007年から2008年にかけてアメリカの政策は非常に一貫していて、ミャンマーの関係者、

あらゆる関係者や勢力と非常に積極的に関わっていたことが印象的だったと思います。

 

ベルティルリントナー氏

アメリカやワシントンのミャンマー政策を見ると、2015年のNLDの選挙勝利より前の話ですが、

全ての関係者を巻き込んでいました。テインセイン氏の時も、彼はホワイトハウスに招待されましたが、

その時、中国人は「我々はミャンマーを西側に奪われた」と感じていたと思いますし、

翻訳された中国の学術誌の記事でその内容を見たことがあります。それが中国側の気持ちだったのです。

そのため、ミャンマーで再び影響力を確立する必要が生じ、実に巧妙にそれを実行したのです。ミャンマーでは、

中国は政府に対してだけでなく、いわゆる「利害関係者」(私はこの言葉があまり好きではありませんが)

にも働きかけを始めたのです。

 

例を挙げると、メディアを巻き込み始めるというような事です。しかし中国はこれまではそのようなことはしたことが

なかったため、中国にジャーナリストを招き、ジャーナリストと対話を始めたのです。ヤンゴンの大使は、

ジャーナリストが電話をかけると突然出てきて、様々な党に話を聞きに行ったそうです。ただ、あくまでもアメリカの影響力の

広がりに対抗するためですが。経済面での投資などでは、アメリカよりずっと強かったのは確かですが、

人対人の関係となると当時はアメリカに大きく遅れをとっていました。そこで、ミャンマーの一般市民とより良い関係を築こうと

考えたのです。

成功したのかどうかはよくわかりませんが、成功したとは思いません。でも少なくとも彼らは努力したし、

それが重要であることを理解していました。当時、一部の学者が言っていたように、ミャンマーを欧米に「奪われる」わけには

いかなかったのです。

 

アウンゾー氏:

気になっていることがあるのですが、アウンサンスーチー氏には、まだ将来的な役割があるとお考えですか?

彼女は現在77歳ですが。

 

ベルティルリントナー氏

いや、彼女は自分の仕事をやり遂げた点においては、ミャンマーの人々にとって多くの意味がありました。

スーチー氏が果たした役割は誰にも否定できませんが、彼女も高齢となり、以前と比べ積極性に欠けてきています。

多くの若者は、スーチー氏はもっと別の方法で物事を対処することができたのではないかと考えているため、

彼女に対して批判的です。

 

KAZ

間違いだったと?

 

ベルティルリントナー氏

はい、その通りです。ですから、次の世代を待つしかないでしょう。次の世代というのは、ミャンマーの人々にとっても、

他のグループにとっても同じことが言えますが、民族の指導者の多くも過去から抜け

出せないでいます。古い視点や古い考え方など、どうやって前に進めばいいのかわからないのです。

 

アウンゾー氏:

最後の質問ですが、どの国でも、行政権と立法府のバランスという観点から、強力な軍隊を文民統制下に置かない限り、

民主主義への移行は停滞してしまいます。民主主義というのは、兵士が国家の主権者ではなく、国家に仕える者である場合にのみ

存在しますが、ミャンマー軍はそれとは異なります。ミャンマー軍が国家に仕えるという役割を引き受ける可能性は低く、

またミャンマー軍は無期限に政権を維持する意図があるが故に、そうなるまではミャンマーの民主主義の予後は良くはならないと

考えています。

 

ベルティルリントナー氏

それが彼らの望みなのです。しかし、1962年に初めて軍が権力を掌握した時のことも忘れてはいけません。

当時はいわゆる第三世界と呼ばれ、世界中で軍によるクーデターが起こっていた時代でした。タイではクーデターが起こり、

その数年後にはインドネシア、アフリカ、中南米などで混乱が起きていました。

 

しかし、ほとんどの国で、軍は政治権力を掌握することに満足し、経済を動かす経済的な権力を他の利害関係者に委ねてしまった

のです。例えばタイでは、経済を動かすという点において、軍とシノタイの富裕層が便宜上併合した結果、

タイは、大いに繁栄しました。インドネシアもそうですし、他国でも同じようなことがありました。

 

しかし1962年のビルマでのクーデターで異なっていたのは、軍が政治的権力だけでなく経済的権力も掌握したことです。

その経済力とは、彼らが「ビルマ式社会主義」と呼ばれるものですが、国有化されたものは、全て軍の管理下に置かれることに

なり、1988年以降に新しい経済改革を導入した時でさえ、軍は依然として強力な役割を担っていました。

 

そして、いわゆる取り巻き関係者は、完全に軍の支援に依存していました。ただそういった取り巻き関係者と軍との関係は、

タイの大企業と政府、タイの軍との関係性とは同類ではありません。ここでは、互いが自身のことを運営するような形を取って

おり、皆がそこから恩恵を受けているのです。            

 

軍は今でも取り巻き関係者を探していますが、国の発展を願うのであれば、そんなことはできないでしょう。

ミャンマーの権力構造は、私が知る限り、他のどの国とも大きく異なっており、経済的、政治的な権力を握っているのは軍で、

全てを支配しようとしています。仮にそれを打破できたとしても、率直に申し上げて、

それがどのように機能するかはわかりませんが、それは軍の内部からしか起こりえません。

問題は、もし軍内で深刻な分裂が起これば、単なる離反ではなく、非常に血生臭い内戦が起こる恐れがあるということです。

 

(2022年7月2日 イラワディよりJMSA翻訳)

 

 

2022年7月4日更新

ASEAN国防会議にミャンマー軍事政権の代表が参加

 

戦争で荒廃した国で活動を続ける何百もの民主化団体はASEAN諸国に対し、ミャンマーの軍事政権との関係を断つよう訴えていた。にも関わらず、6月22日にカンボジアの首都プノンペンで開催されたASEAN国防相会議(ADMM)にミャンマー軍事政権代表が出席した。

 

ミャンマーのミャトゥンウー軍司令官は、2021年2月に国軍が同国の民主政府を追放して以来、独自に設立した国家行政評議会(SAC)の代表として最高幹部へ参加した。

 

ASEAN加盟国の10カ国は、このような関与は政権とその反対勢力に対する非情な弾圧を容認または是認しているように見えると懸念しており、政権への対処について意見が分かれている。

 

シンガポール、フィリピン、インドネシア、マレーシアは、2022年のASEAN議長国であるカンボジアに対し、ミャンマーで繰り広げられている敵対行為が終わる兆しが見えるまでは、軍事政権による参加は見送るべきだと表明している。

 

マレーシア国防省は、「今日の会議にミャンマーの国家行政評議会の代表も含めたミャンマーからの参加があったとしても、マレーシアがSAC(国家行政評議会)を正当なミャンマー政府として認めたという意味ではない」と声明を出した。

 

「マレーシアが常に強調してきたことは、ミャンマーの政治的危機の解決策を見出すために5項目の一致内容に基づき合意事項の実施を加速させなくてはならないことだ」と述べた。これは、2021年4月24日にASEAN指導者らとミャンマー軍のミンアウンフライン国軍総司令官との合意内容について言及している。

 

この合意は、ミャンマーでの暴力行為の断絶、人道支援の提供、ASEAN特使の任命、特使の仲介によるミャンマーの各グループ間の協議の実施を求めた内容となっている。

 

一方で、カンボジアのティーバン国防相は、ミャトゥンウー氏による会議の参加は、同地域が安全保障問題に関して一つになっていることを表しているとも語った。

 

「この参加は、解決策を見出すことを目的としているため、あれこれ非難したりと全てに対応することはできない」とティーバン氏は記者会見で述べ、会議にミャンマーの参加を認めたことへの批判に答弁した。

 

インドネシアのプラボウォスビアント国防大臣は相手国の関係者に対し、相互間の利益を守る観点から互いの相違点は当面切り離して扱うよう訴えた。

 

「我々は、外部の権勢によりASEANが分断してしまったり、その抗衡に巻き込まれるようなことは決してあってはならない。ASEANと国民の未来は、私たちの肩にかかっており、紛争ではなく平和を、そして争いよりも協力を願っているという点では、私たち全員が同じ考えを共有していると信じている」と述べた。

 

ミャンマーの677の民主主義団体連合は先週、ASEANの国防相宛てに公開書簡を作成し、軍事政権の代表を招聘しないよう求めた。

 

各団体は、2021年のASEAN首脳会議や2022年の外相会合など、軍事政権からミャトゥンウー代表を締め出すというその他のASEANの決定と矛盾すると述べた。

 

当書簡では、「軍事演習を含めたADMM(ASEAN国防相会議)による軍事政権への関与は、この政権の戦争犯罪や人道に対する罪の助長に相当する恐れがある」と書されている。

 

カンボジアの国営メディアによると、会議後の共同宣言の中で閣僚らは、COVID-19の抑え込みを目的としたASEAN防衛軍間の連携強化、ASEANの女性による平和維持隊への支援拡大、防衛関連教育施設へのさらなる協働、海洋安全保障強化のための情報共有に合意したという。

 

(2022年6月22日,RadioFreeAsia.よりJMSAが翻訳・要約)

 

2022年7月4日更新

WTO、食糧難への緊急対応に取り組む

 

最近閉幕したWTO(世界貿易機関、以下WTO)閣僚会議の中で主要な成果の一つに、世界が直面している食糧難への対処に関する政治的公約の到達がある。

これは、COVID-19ワクチン製造の知的財産権放棄に関する合意と共に、ますます多様化する世界でのWTOや多国間主義への期待の再起を果たすものであった。

 

世界を見ると、特に世界中の開発途上国が経験した食料や農産物の貿易の混乱、記録的な価格高騰そして過度な変動性を加味した上で、2022年6月12日から15日まで開催された会合で食糧難への緊急対応に関するWTO閣僚宣言において

 

「穀物、肥料、その他農作物生産への投資を含む食料と農業の世界市場の機能性と長期的な回復力向上を図るために貿易促進と具体策を講じる」と政治的公約が表明された。後発開発途上国や食料純輸入途上国は、食糧価格の高騰により不相応な影響を受け、財政やその他農作物の生産能力関連の課題も相まって貿易条件の悪化が見られる。

 

このことはWTO閣僚会合で検討されてきたが、この宣言の中でWTO加盟国は、「開発途上国の小規模な食料生産者の利益を考慮した上で国連の2つ目の持続可能な開発目標を達成するために、公正かつ市場重視の農業貿易システムの実現、飢餓のゼロ目標、食糧安全保障と栄養改善の達成、持続可能な農業と食料システムの促進、生産性および生産力を高めるタフな農業実施に向けて前進する決意 」と言明している。

 

この宣言で提案されたその他の具体的な方策として、後発開発途上国および食料純輸入途上国特有のニーズや状況への対応、WFP(国連世界食糧計画)を含め、ドナー国に対し貧困国や脆弱な国に食料を供給するための働きかけの実施、LDCs(後開発途上国)及びNFIDCs(食料純輸入途上国)に対し農業生産能力、インフラ、農作物の生産高を改善するために国際及び地域金融機関を含めた技術、財政支援の実施、余剰株式を有する加盟国に対してWTO規定に常に準拠した国際市場での公表の働きかけ、そして最後に農業市場の透明性や食糧確保の政策対応の強化を目指した国内外での情報共有が挙げられる。

 

(2022年6月25日,mizzimaよりJMSAが翻訳・要約)




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