2023年3月30日更新
ミャンマー軍政トップ、 「影の政府」 と連合軍のEAO打倒を誓い抵抗勢力を支援
ミャンマー軍のミンアウンフライン最高司令官は月曜日、ミャンマーで活動している国家統一政府 (NUG) と同盟関係にある民族武装組織 (EAO) に対して、同氏の政権を崩壊させようとする民族武装組織の増大する試みを阻止するために断固たる行動を講じると述べた。
ミャンマーの首都ネピドーで開催された「国軍の日」を祝う毎年恒例のパレードで、軍事政権のトップは軍隊への演説で、NUGはテロ行為に従事するために結成された政治組織だと述べ、「NUGと(その武装組織である)人民防衛軍を支援してきたEAOの一部は、国を破滅させようとする組織だ」と付け加えた。
ミンアウンフライン氏が毎年恒例の国軍記念日の演説でNUGとPDFに言及したのはこれが初めてで、いずれも軍事政権によってテロリスト集団と烙印を押された組織の脅威を認識しているようである。 2021年のクーデター後、政権と戦うために武装した人々がNUGやPDFを結成して以来、ミンアウンフライン氏の部隊は全国的に激しい攻撃を受けている。
追放された国民民主連盟 (NLD) 政府の選出議員とその同盟民族によって結成されたNUGは、政権との戦いにおいて大多数のミャンマー国民から支持を得ており、PDFも同様で、カチン独立軍 (KIA) を含むミャンマーの確立されたEAOのいくつかから軍事的や後方支援を受けている。
昨年の同イベントでの演説で、ミンアウンフライン氏は抵抗勢力に対して「全滅させる」と誓った。しかし1年が経過しても、軍事政権は定期的な空爆、放火、抵抗拠点での殺害や襲撃を実施しているにも関わらず、依然として国の実行支配には至っていない。先月、ミンアウンフライン氏はミャンマー国内の330の郡区のうち平和的なのは198だけだと公に認め、同氏が月曜日に抵抗勢力を粉砕するという誓いを繰り返す数日前には、カヤー州とカレン州の抵抗勢力グループと同盟関係にあるEAOの連合軍はミンアウンフライン氏の部隊大きな打撃を与えた。ミンアウンフライン氏は月曜日、抵抗勢力を圧倒的に鎮圧するために、国内40の郡区 (そのほとんどが反体制派の拠点) で戒厳令が延長されたと強調した。
ミンアウンフライン氏は、NUGとPDFによる抵抗を根絶することを目的に、提供された銃器を効果的に使用するよう部隊に伝達した。しかし、同氏の最後の誓いと位置付けたこの「断固たる姿勢で抵抗勢力を粉砕する」という言葉は、絶望的な行為と受け止められ、流血事態の拡大につながることが懸念された。
現地の軍事アナリストは「とはいうものの、ミンアウンフライン氏はそれが実行できるのだろうか。同氏の軍隊は国内中で展開しすぎており、攻撃の標的になっている」と述べた。同軍事アナリストによれば、昨年誓ったミンアウンフライン氏による敵を全滅させるという宣言後、抵抗勢力に残忍な攻撃を加えたと指摘した。「しかし、ミンアウンフライン氏は抵抗勢力を管理できておらず、同勢力は更なる勢力の拡大の一途をたどっている」と述べた。
軍事装備のパレードや展示とは別に、「国軍の日」のイベントは、退役した元軍高官を含む軍関係者の年次集会であり、月曜日のイベントには、元連邦選挙委員会委員長のティンエイ氏、元少将、大臣のテイウ―氏、ティンゾゥ氏やイエミン氏も参加した。いずれも元独裁者のタンシュエ氏に忠誠を誓っている面々だ。
元提督のソータン氏、ニャントゥン氏、トゥラテッスエ氏、元将軍のキンアウンミン氏、そして元空軍長官のニャントゥン氏、軍の代理人である連邦団結発展党 (USDP) のウキンイ元准将も軍服を着て祝賀会に参加した。また軍関係者とは別に、親体制政党の幹部も招待されていた。
(2023年3月27日:JMSAがThe Irrawaddy紙を要約・翻訳)
2023年3月27日更新
中国のギャンブル都市に関連したBGFリーダーの集団寄付に民族主義僧侶が参加
ミャンマー軍事政権と関係のある国境警備隊 (BGF) の主導者で、カレン州ミャワディー郡区の賭博都市を統括しているソーチットトゥ准将は、大規模な寄付の式典を開催したが、これが波紋を呼んでいる。
反対勢力の軍人から実業家に転身したソーチットトゥ氏は、カレン州のヒリンブエタウンシップにある故郷のキャライン村にピタリンヤと呼ばれるパゴダを建てた。1億チャット以上が使われたこの式典では、ダーマの講演会、ファン感謝祭、スポーツイベントなどが行われ、「マバタ」の名で知られる仏教国粋主義の人種・宗教保護協会の過激派僧侶ウィラトゥ氏も説教を行った。ウィラトゥ氏とソーチットトゥ氏は昨年、軍事政権のミンアウンフライン最高司令官からティリピャンチーの名誉称号を授与された。
住民が投稿したFacebookによれば、ソーチットトゥ氏は無登録の車11台、バイク18台、高価な電話や現金などの賞品を幸運なくじで得たという。これを受け、くじを求めて僧侶が住民ともみ合う写真がネット上に配信され、批判を浴びた。
仏教学者のサヤドウミントーネナヤ氏は、「汚れた金を稼ぎ、軍事独裁者と協力しているソーチットトゥ氏を支援しているのと同じようなこのような行為は、仏教から完全に逸脱しており、極めて恥ずべきことである。人間が恥じず、悪い行いをすることを恐れなければ、社会は崩壊するだろうという釈迦の教えの下では、僧侶であっても、悪いことをすることへの羞恥心や恐れがなければ、社会が破壊してしまう」と語気を強めた。
軍事政権に対する反対勢力の上部組織の拠点となっていたマネルプラウが1995年に陥落すると、カレン民族同盟の指導者たちはマネルプラウ本部から逃亡し、カレン武装運動はいくつかのグループに分裂した。1つはソーチットトゥ氏が率いる民主カレン仏教徒軍 (DKBA) で、2009年にソーチットトゥの部隊はミャンマー軍の指揮下でBGFに変わった。ソーチットトゥ氏は、BGFの中央諮問指揮委員会の書記長に任命され、大佐の階級が与えられたが、同氏はDKBAでの階級である准将を自称している。
ミャンマー軍は2021年のクーデターの数ヶ月前に、世間を騒がしているシュエコツコの新都市に対する賭博プロジェクトに関与しているBGFの指導者たちに対して辞任するよう圧力をかけた。BGFを指揮していた13人の少佐を含む90人の将校は、ソーチットトゥ氏と共に辞表を提出したが、軍の再検討要請を受けて辞任を撤回していた。これを受け、ソーチットトゥ氏は引き続きその地位を維持した。
Chit Lin Myaing社と香港に登録されているYatai International Holding Groupとの共同プロジェクトであるこのプロジェクトは、中国からの支援も相まって過去2年間で成長を遂げてきた。このプロジェクトでは、中国の犯罪組織、人身売買、労働搾取、オンライン詐欺、賭博、その他の違法行為が行われており、ソーチットトゥ氏と同氏の部隊の主要な収入源となっていることでも知られ、東南アジアで酷評されている。
カンボジアやシュエコツコで波紋を呼んでいる巨大プロジェクトやギャンブル事業を展開している中国人投資家の石志江氏は、オンラインカジノを運営していた疑いで国際逮捕状の容疑者でもあり、昨年8月にバンコクで逮捕された。しかし石志江氏の逮捕にも関わらず、BGFによると、プロジェクトは通常通り運営されているとのことである。
(2023年3月10日:JMSAがThe Irrawaddy紙を要約・翻訳)
総選挙候補5党、ミャンマー軍勝利を示唆
野党関係者は火曜日、ミャンマー国内の総選挙に参加する基準を満たしている5つの政党はいずれも軍の権力掌握に異議を唱えることはできないと語り、軍事政権主導の投票をボイコットするよう各団体に訴えた。
これまでに23の政党が年内に実施されるとみられる総選挙への登録を申請しているが、全国レベルで総選挙に参加できる基準を満たしているのは5政党のみで、いずれも元軍人が主導しており、少数民族も代表している。反対派やアナリストは、2021年2月のクーデターで政権を掌握した軍が1月に承認した新たに厳格化された適格要件が、軍と連携する政党に有利に働き、年内に予定されている世論調査を通じて軍事政権の正当性を示そうとしていると指摘している。
ヤンゴンを拠点とする退陣した国民民主連盟の元議員であるボーボーオー氏がRFAに対して、「政党の登録に関する法律は (軍事政権によって) 違法に制定されたものであり、決して同意できるものでははく、各政党が軍事政権の新法に基づいて登録されることは望んでいない。新しい登録法は軍事政権の正当性を助長するかもしれないため、私は彼らにそれを認めてほしくない」と語った。
新しい法律では、最低会員数と基金の基準をより高く設定し、小規模な政党が登録できないようにしている。国政選挙への参加を希望する政党には、10万人以上の党員と1億チャット (45,000米ドル) 以上の軍資金が必要であり、州または地域の選挙に参加することを計画している人は、少なくとも1,000人の会員と1000万チャット (4,500米ドル) が必要である。
新しい法律はまた、政党は通過後60日以内に連邦選挙委員会に再登録することを義務付けている。そのため、遅くとも3月末までに再登録するか、解散扱いとなる。2020年の選挙で圧勝したアウンサンスーチー氏率いるNLDは、既存の19人の候補者グループから抜けており、現在はスーチー氏33年、ウィンミン元大統領は12年服役している。
軍部に反対する一部の勢力は、軍事政権がまだ日程を発表していない選挙のボイコットを呼びかけている。前の軍事政権が2010年に実施した選挙を野党がボイコットした後、当時のテインセイン大統領の下で準文民政権として国を運営したUSDPだけが、2023年の正当な候補者と見なされている。軍事政権の選挙代理人として機能する同党は、不正疑惑に基づいてNLDの選挙勝利に異議を唱え、2021年のクーデター後にミャンマーの大統領に就任した。しかし、シャン民族党を含む他のグループは、ミャンマーで民政を再建するには選挙しかないと考えている。
軍事政権の新しい登録基準は、ミャンマーの次期選挙に対する懸念が広がる中で導入された。在ミャンマー米国大使館の声明によると、ブリンケン米国務長官は11月、軍事政権が管理する選挙は自由で公正なものではないと警告した。
(2022年3月15日:JMSAがraf紙を要約・翻訳)
2023年3月8日更新
ミャンマー反政府勢力、軍事政権を支援したとして政府高官 4 人を追放
ミャンマーから退陣した国民民主連盟(以下、NLD)は、アウンサンスーチー議長に対する軍事政権の訴え、そして今年後半に予定されている軍の選挙を支持したとして、ヤンゴン支部の党代表を含む幹部4人を追放した。
NLD は声明で、スーチー氏に対する贈賄の「虚偽の証拠」の正当性を高め、軍事政権が権力掌握を正当化するために使用すると主張する「偽の」世論調査を支持するため、同党の名前を使用したとして、ピョーミンティン元ヤンゴン管区総理と他の 3 人の中央委員会幹部のサンダーミン氏、トールウィン氏、ウィンミンアウン氏を永久追放したと発表した。
同党は 2020 年のミャンマー総選挙で地滑り的に勝利し、国民の 82%以上の支持を得た。しかし、軍は 2021 年 2 月に NLD の選挙不正を告発してクーデターを起こしたが、それから2年以上経っても証拠が出てこないと主張している。
軍事政権奪取前に NLD 所属の国会議員としてヤンゴンのダラ地区の代表だったボーボーウー氏は、この決定は軍事政権に対する党の反対を示していると述べ、「追放された人々はできる限りの権力の地位を得ることを期待して、来たる選挙で軍に接近し協力したと考えられる。NLD は今回の声明で、テロリスト軍事政権が準備している選挙に断固として反対するつもりであることを証明した」と語気を強めた。
NLD の発表は、スーチー氏が 11.4 キログラム (402 オンス) の金と現金、計 60 万米ドルをピョーミンティン氏から受け取ったという昨年の検察側の証人である彼の証言に反論するものである。スーチー氏 (77) はこの主張を 「ばかげている」と一蹴していた。しかし、軍事裁判所は国の反腐敗法違反で4月にスーチー氏を有罪とし、懲役 5 年を言い渡した。
これは、2016年から2021年2月のクーデターまでミャンマーの国家顧問を務めていたノーベル賞受賞者のスーチー氏に対し、軍事政権が起こした11件の汚職事件の最初のものだ。12 月には、軍政裁判所はスーチー氏に対し、汚職疑惑の5つの罪でさらに7年の禁固刑を言い渡したため、スーチー氏の拘留年数は合計で33年となった。
スーチー氏は軍が政権を掌握した直後、ネピドーでウィンミン前大統領と共に逮捕されたが、1989 年に軍の国家平和発展評議会政府に拘束されて以降、2010 年に釈放されるまでの21年間のうち、すでに15年を自宅軟禁されて過ごしている。
RFA は、NLD の代表だけでなく追放された幹部にも接触し、4人の党首を追放する決定について意見を求めようとしたが、何らコメントは得られなかった。NLD の人権文書チームによると、クーデター後の2年間で、当局は元議員3人を含む党員84人を殺害し、少なく
とも1,232人を逮捕した。
(2023年3月3日:JMSAがrfa紙の記事を翻訳・要約)
2023年3月1日更新
インドとミャンマーが密接な関係を維持、武器の納入も
世界最大の民主主義国家であるインドは、2021年のクーデター以降、ミャンマーの軍事政権と2年間にわたり緊密な関係を築いてきた。またこの間にもミャンマーに少なくとも武器の提供を4度も行ってきた、とインドの人道支援と擁護団体が公表した。
インド政府と同国の企業によれば、2021年にミャンマーの軍事政権にレーダー技術と遠隔操作防空システムを売却している。
同団体によると、昨年は重火器や爆弾の起爆装置、自動小銃や自動スコープに使用される熱画像装置が販売され、1月4日の軍事評議会の独立記念日式典には、インドのビナイクマール大使が出席し、軍事政権への支持を示した。
「ミャンマーのためのインド」機関の創設者であるサライドカール氏は、「インドは、軍事クーデター前の文民政権と同様に、ミャンマー軍政との関係を維持していることが分かった」と語った。ドカール氏によると、「インドは、ロシアや中国よりも軍事政権を理解しており、緊密な関係を維持していると言わざるを得ない」という。
昨年9月の国連報告書によると、ロシア、セルビア、中国もクーデター以降、殺傷能力のある武器を供給しており、国連人権高等弁務官事務所の報告書でも、インドの国営企業が遠隔操作の兵器防空基地を提供したことも記されている。RFAは先週からミャンマーのインド大使館にコメントを求めていたが、返答は得られなかった。
「ミャンマーのためのインド」機関は先月の報道発表で、クーデター後にインドが軍事政権に武器や技術を提供した事例を4件挙げた。インド政府所有のバーラト・エレクトロニクス社は2021年6月に軍事政権にレーダー技術を売却し、さらにその翌月には、遠隔操作式防空システムも販売したという。
2022年には、インドのタンボ・イマジニング社が自動小銃や狙撃銃に使われる望遠鏡を納入し、昨年3月にはインドのサンディープ・メタルクラフト社がミャンマー国軍の爆弾や手榴弾に使用する信管も納入した。
国連の報告書では、サンディープ・メタルクラフト社がカール・グスタフ無反動銃の弾薬用にミャンマー製の信管を販売しており、また別の団体「ジャスティス・フォー・ミャンマー」によると、ミャンマー国軍が民族地域での攻撃で84 mmカール・グスタフ弾を使用したとも伝えている。
また別の国連の報告書によると、インド当局者は国連特別報告担当者に対して 「ミャンマーとインドは1,700 kmに及ぶ共有国境沿いとベンガル湾において、重要な安全保障上の問題を共有している」と指摘した。「行われた可能性のある武器の納入は、クーデター未遂前にミャンマーの文民政府と交わした約束に基づいている」と付け加えた。
(2023年2月22日:rfa紙をJMSAが要約・翻訳)
ニュースArchive
工場設立支援